<橋>
上演時間:2時間
出演者:谷口征太(30代)   谷口清吾(30代)
     女将(40代)      すみ   (30代)
     那美(30代)      小夜(10代)
     山科(60代)      平山(30代)
     美佐(20代)      春(20代)
     志乃(20代)      綾子(30代)
     ミノル(10代)     和(10代)
     直(10代)
〜〜ストーリー〜〜
山奥の小さな村が舞台。
村はある男の訪問のために色めき立っていた。
その男とは、かつて村に暮らしていた『英雄』の“弟”だ。
特に、張り切っているのは村にただひとつの旅館“薫風館”の女将だ。
かつての『英雄』は、その昔“薫風館”を常宿としていた。
そのため、女将は何くれとなく『英雄』の面倒を見ていたからだ。
 『英雄』の弟、征太が現れた。村中を上げての大歓迎だ。
・・・と、遅れること数時間、もうひとりの男が“英雄の弟”を名乗って現れる。清吾だ。
村人達は、『英雄』の弟はふたりいた!と、改めて大歓迎する。
 征太と清吾は、ペテン師だった。
週刊誌で“かつての英雄”の記事を目にして、ひと仕事をたくらんでいたのだ。
そうとも知らずに、女将をはじめ、村人達は、浮かれていた。
ペテン師達は、“橋”の建設を持ちかける。
“橋”を架ける事によって、村が発展するに違いないと。
すっかり信じきっている村人達は、橋を建設するための株式会社を設立する。
・・・株式会社とは、名ばかりで、株券が売れ、村中のお金が旅館に集まったところで・・・、
ペテン師たちは、ドロン!と、考えていたのだ。
・・・ところが、女将の様子がおかしい・・・。
女将が、株券の事が原因で、村の女、那美を殴り飛ばすのだ。
たかが、会社の事なのに・・・どうして女将はこんなに熱くなれるんだ・・・。
ペテン師たちは、疑問を持ち始めた。
 なんと、その那美こそが、『英雄』の本当の家族、妻だったのだ・・・。
驚いたペテン師たちは、そそくさと逃げる算段をするが・・・、
気が付くと、橋はすっかり出来上がってしまっていて、お金もかなり減ってしまっていた。
ペテン師たちは、村人や女将の熱意に心を動かされ始めていたのだ。
・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・
ペテン師は、村を出た。わずかばかりのお金を手に。
来る時の電車賃を勘定にいれたら、大赤字だ。しかし、ふたりは、すがすがしかった。
「いい仕事をしたね」と、橋の欄干を撫でると、また、次の旅にでる。

この作品は、菊田一夫原作「花咲く港」をアレンジしたものです。
昭和初期に、松竹映画で上映されました。
菊田一夫「花咲く港」をご存知の方は、かなりアレンジを加えておりますので、
違ったイメージに思われるでしょう。
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