エチュード
電車のつり革につかまって、本を読んでいます。電車の中は少し混雑している。
すると、右隣りの男が足が知らん顔をしています。思いっき睨みつけても
気づきません。
ムッとしながら、また本を読み始めると、再び右隣りの男が足を踏みます。
今度は咳払いで抗議しましたが、気づかないようです。
頭に来たあなたは、よろけるフリをして、男の足を踏み返し、
知らん顔をしてやります。
『いい気味』です。
気分も良くなって、また本を読みはじめました。
すると、今度は左隣りの人が足を踏んできました。思いっきり睨み返すと・・・、
きれいな女性でした。
女性も謝っています・・・。バツの悪い思いです。
 今度は自分がよろめいて、さっきの右隣りの男の足を踏んでしまいました。
今度はワザとではなかっただけに、バツの悪い思いがします。
右隣りの男が、睨みつけています。本を読んで、気づかいフリをします。
ページをめくろうとして、つり革を離すと、右隣りの男につり革を取られてしまいます。
思わず、男の手を握ってしまった形になって、慌てて手を離します。
悔しがりながら、自分の足だけを頼りに、バランスを取りながら、
本を読むことにしました。
すると、前に座っている女性の視線に気づきます。綺麗な女性です。
本に集中出来ずに、チラチラと女性を見ると、なにかサインを送っています。
ニヤニヤしながら、嬉しそうに、女性のサインの指示通りに自分の頬に手をやると、
ご飯つぶがついていました。
穴があったら入りたい気分です。
<男性編>
<女性編>
あなたはスーパーモデルです。フッションショーのステージの上にいます。
歩く姿もスーパーモデルらしく、優美で気品があります。
フラッシュをたかれると、ますます自分に酔ってしまいます。
いよいよ、一番の見せ場、美しくターンしてジャケットを華麗に脱ぎます。
・・・大変な事に気がつきました。なんと、ジャケットの下にシャツを着てくるのを
忘れてしまったのです。そうです、裸なのです。
しかし、お客様は、あなたをしっかり見つめて、次の動きに期待しています。
あなたは、颯爽と歩いて、なんとかこの場を乗り切ろうと考えますが、方法が思い
つきません。客席の後ろで、プロデューサーが、『脱ぐ』ように目配せします。
この危機を乗り切る方法は、もう無さそうです。
『ええい!』開き直って、脱ぐ事にしました。
裸になっても、“これも演出のひとつ”と乗り切ろう!
『あれ?』・・・そうだった、裸だと思っていたのが、“見せるための下着”だった・・・。
なぁんだ・・・気を取り直し、また、颯爽と退場します。・・・が、
気が抜けたせいか、靴を片方、ステージに置き忘れています。
また、“これも演出”と言う顔をして、堂々と取りにいきます。
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